「自然から生まれ自然へ帰るものづくり〜和紙の向こうに見えるもの〜」
作成団体:柳生和紙プロジェクト
(1)ねらい
柳生の土地に伝承されてきた柳生和紙の特質を学び、未来の循環型社会を見つめるきっかけとする。
また、紙漉きの体験を通して、環境に配慮するグリーンコンシューマーの心を養う。
- 自然界の植物の特色を生かし和紙が作られていることを学ぶ。
- 和紙を通した歴史から生活の変遷を学ぶ。
- 和紙を通した歴史から自分たちの住む気候風土を学ぶ。
- 和紙漉きを実際に体験しものづくりの楽しさを学ぶ。
- 和紙づくりの工程を学ぶことによりその大変さを知り、ものを大切にする心を養う。
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(2)内容
「柳生和紙の製造工程や特質などについての学習」「原料木であるコウゾの見学」「歴史を知る」「紙漉き体験」をする。
- 和紙の製造工程(原料栽培から和紙づくりまで)や原料(コウゾ、トロロアオイ)及び歴史をパワーポイントで学ぶ。
- コウゾの木を実際に見学し、1年で原料になりうる生長の速さを知る。
- コウゾの繊維にふれ、和紙の原料であることを確認する。
- 小西利兵衛頌徳碑を見学し、柳生が和紙の里であったことを知る。
- 柳生和紙工房で工人の話を聞くことで、柳生和紙の現状を知る。
- 和紙漉きを体験し工程を知るとともに、ものづくりの楽しさを知る。
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(3)場所
柳生市民センター〜柳生小学校〜柳生寺〜柳生和紙工房 |
(4)参加者
対象:制限なし
人数:最大20名程度(サポーター1人あたり参加者5名) |
(5)進行(時間割)
合計時間 : 2時間
| 00 |
和紙の製造工程と歴史をパワー
ポイントで学ぶ
(市民センター) |
| 30 |
コウゾの木見学(柳生小学校)
小西利兵衛頌徳碑見学(柳生寺) |
| 60 |
和紙漉き実演見学(柳生和紙工房) |
| 80 |
和紙漉き体験(柳生和紙工房) |
| 120 |
解散 |
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(6)準備物
- 指導者/主催者
参加者名簿、名札、配布資料、使用見本
パソコン、プロジェクター、エプロン、原料説明用具一式、和紙すき体験用具一式
- 参加者
筆記用具、エプロン、新聞紙、タオル、ビニール袋
(雨天時は雨具)
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1企画準備
(1) 日時の決定
- 日時の候補を3、4日挙げ、柳生和紙工房の佐藤さんに日時の都合を問い合わせます。
(2) 場所の確保
- 柳生市民センターの会場を予約します。
- 柳生小学校に、コウゾ(※1)の木見学許可の問い合わせをします。
- 柳生寺に「小西利兵衛頌徳碑」見学許可の問い合わせをします。
- 柳生和紙工房の佐藤さんに和紙漉き体験と見学、説明を依頼します。
(3) 安全の確保
- 事前に危険な場所の確認を行います。また、体験場所の移動があることや佐藤さん宅では機械等があるので、万が一怪我をしたときのために、保険の加入を行います。
(4) 準備物
1.指導者/主催者
○はじめに
○ガイダンス
- 配布資料(本日のスケジュール、歴史について、ワークシート、和紙、コピー用紙、リサイクル紙)
○和紙の歴史と製造工程について
- 資料(歴史)、パソコン、プロジェクター、レーザーポインタ、工程説明パワーポイント、卒業証書、松川だるま、売茶翁の包装紙など使用見本
○コウゾの木見学
○小西利兵衛頌徳碑の見学
○和紙漉き
- テーブル、レンガ、すき舟、すき枠、コウゾ、水、トロロアオイ、バケツ、三角定規、セロファン、乾燥説明用見本和紙、乾燥コウゾ、エプロン、筆記用具、アンケート用紙、記録用カメラ
2.参加者
2プログラム実施
(1) はじめに
- 参加者受付、資料、名札配布
- 資料配布(プログラムに対する期待度を高めます)
(2) ガイダンス
- アイスブレイク
- 主催者があいさつ、スタッフを紹介し場を和ませます。
- 参加者には、簡単に自分の名前と「思い浮かべる和紙製品」を1点だけあげてもらいます。「これから和紙についてのプログラムを体験するんだ」ということを明確にするとともに、参加者意識を高めることがねらいです。はじめにリラックスし交流することで、体験効果が上がります。
- プログラムについて
- 今日のプログラムの流れ(スケジュール)について説明し、進行上の不安を取り除きます。
(3) 和紙の歴史と製造工程について (柳生市民センターにて)
紙漉き体験に先立ち、歴史や製造工程などの柳生和紙の全体的なフレームを紹介し、実際に和紙に触れてみるなどして、このプログラムのねらいを参加者に明確にします。
- 柳生和紙の歴史を知る (パワーポイント利用)
- 柳生和紙のルーツ (四百年の歴史、気候風土、産業としての和紙を学びます。)
- 時代の流れと柳生和紙 (江戸から昭和初期までの和紙製品から生活の変遷を学びます。)
- 実際に柳生和紙を使っている商品などを見、柳生和紙の現状について学びます。
- 和紙の製造工程について知る(パワーポイント利用)
-
原料栽培〜刈り取り〜原料作り〜紙すき〜乾燥〜製品
- 工程の多さと作業量、製品化までについやす時間の長さなどを学びます。
- 配布した和紙と洋紙を比較して(触る、破く、折る、書く、透かす)違いを学びます。
(4) コウゾの木見学 (柳生小学校北側にて) ※1
原料木であるコウゾに直に触れ・自分の目で見・繊維を確かめることで、リサイクルに適した和紙の仕組みを理解してもらいます。
- 移動前の注意事項
- 移動先ではトイレが使えないので、移動前にトイレに行くよう促します。
- 移動の際、交通安全に気をつけます。
- 柳生和紙工房、柳生寺は個人宅であること、柳生小学校は公共の施設である旨を伝え節度ある行動を促します。
- 柳生小学校で栽培しているコウゾの木を見学します。
- 1年間での生長の度合いを知り、コウゾが和紙になるまでの期間を知ります。
- 自分の身長と比べるなどして、成長の早さに気付きます。
- コウゾの細い枝(約8cm)を切り分けて配ります。
- コウゾの木の皮を各自むいて繊維を観察し、どの部分が和紙になるかを学びます。
(5) 小西利兵衛頌徳碑の見学 (柳生寺にて)
柳生の地に、なぜ柳生和紙が発祥し現代まで伝承されてきたかを知ることで、今後の柳生和紙のあり方について考えてもらいます。
- 事前に配られた資料を見ながら説明を聞きます。
- 碑を見ることで柳生が和紙の里であったことを学びます。あわせて、柳生の気候風土も学びます。
(6) 和紙すき体験 (柳生和紙工房にて)
柳生和紙の技術を現代まで継承してきた柳生和紙工房で、紙漉きの体験をしてもらいます。実際に体験することで、柳生和紙に対する観察がより深まり、愛情が湧くことが期待できます。
- 柳生和紙工房の佐藤平治さん・ふみゑさんご夫妻を紹介します。
- お二人は唯一残る和紙すき職人で、次の担い手がいないことに気付きます。
- 佐藤平治さんから柳生和紙の「昔の使い道」や「長所」「生活やくらしとの関わり」などのお話を聞くとともに、柳生和紙工房内の製造工程や機械の説明を受けます。(※3、4)
- コウゾ(※1)やトロロアオイ(※2)の実物を見ます。
- 佐藤ふみゑさんの和紙漉き実演を見学し、実際に紙ができる工程を学びます。
- 体験用の漉き枠を配り、持参した新聞紙を置いて、自分の場所を確保します。
- 和紙漉きの方法、漉く枚数を説明します。
- 和紙漉きを体験し、ものづくりの楽しさを体感します。(※5、6)
- コウゾやトロロアオイの感触を実感したり、においを嗅いだり、色を見たりと五感を使って確認します。
- 和紙漉きは何度でもやり直しができ、循環型の生活に最適な素材であることを学びます。
- 一人ずつ印象に残ったところを発表します。
- 漉いた後の乾燥の仕方を学びます。
- 後片付けをし、漉いた和紙の持ち帰り準備をします。
(7) 参加者の振り返り・気付きの提供
- 活動の振り返り
- ワークシートに、今日学んだことや感想・意見を記入してもらいます。
- 実際に和紙漉きを体験したことから、生活の中に参加者が今後どのように和紙を取り入れて行きたいか考えてもらいます。
- それぞれが記録してきたワークシートを見直し、考えをまとめる時間を与えます。
- 気付きの提供
- 参加者の年齢によって、相応の気付きを提供します。
- 「思い浮かべる和紙製品」から、昔と現代の人々の生活について考えます。
- 生長の早いコウゾの特質などを紹介し、循環型社会という視点から興味を深めます。
3主催者振り返り・今後への活かし方
- 参加者が楽しく過ごせるように一言声掛けできたか、確認します。
- 参加者が最初の段階から互いに打ちとけ合えたか、確認します。
- 歴史・製造工程を理解させることができたか、確認します。
- コウゾとコウゾ以外の木で繊維の違いを比較できたか、確認します。
- ワークシートの項目は、ねらいに沿ったものとなっていたか、確認します。
- 参加者が自分の生活を振り返るきっかけとなる「気付きの機会」の提供ができたか、確認します。
- アンケート結果をもとに評価を行い、改善点を次回の活動へ活かします。
資料
※1 【コウゾ】
和紙の原料となる植物はおもにコウゾ、ミツマタ、ガンピです。柳生和紙の原料として使われているのはコウゾです。コウゾはクワ科の落葉低木で高さは2〜5m。土地を選ばずどんな場所にも育つため栽培は簡単です。現在のおもな産地は四国の高知県や茨城県などです。特に茨城県や栃木県の「那須コウゾ」とよばれるコウゾは繊維のきめが細かく最高の品質とされています。
※2 【トロロアオイ】
紙をすくためには材料となるコウゾなどの他に「ネリ」とよばれるものが必要です。ネリとは植物性の粘液で紙をすく時に紙の材料に混ぜて使われます。このネリは紙をすく時にすきげたでくみ上げた紙の材料の水が紙を受けるすのこの間からもれる速さを調節します。その上すき舟の中の紙の材料を水中にうまく散らしてくれるので紙がすきやすくなります。このネリとして使われるのがトロロアオイです。トロロアオイはアオイ科の1年草でその根の形がトロロイモに似ていることからこの名がつけられました。このトロロアオイの根をつぶすと透明な粘液が流れ出します。これがネリとして使われます。夏などはトロロアオイが腐ってしまうので和紙すきは寒い時期の方がよいのです。
※3 【柳生和紙の歴史】
柳生の和紙づくりは、今からおよそ四百年前(慶長年間)に始められました。仙台藩主伊達政宗は、米作り以外の産業もさかんにしようとして、福島県伊達郡茂庭村から4人の紙すき職人を柳生によんで、和紙づくりの指導にあたらせました。そのころ、この4人のほかに48戸の家で和紙づくりをしていました。この土地は、きれいな地下水が豊かで、高舘山のふもとにあるため、乾きやすく、紙すきには都合がよかったのです。
後には、近くの高舘村、熊野堂、吉田村でも紙すきが行われるようになり、生産量もふえて、街でも紙を売る店があらわれるようになりました。
柳生和紙が最も盛んに作られたのは、明治の後半から大正にかけての時期で、「柳生に行くと太白(白砂糖)を食わせられる」と言って、近くの若者たちは争って手伝いに来たそうです。また、そのころの紙の生産額は、中田全村の米の生産額よりも多かったということです。
しかし、大正11年(1922)に、長町に紙を大量に作る工場ができ、西洋紙などが使われるようになってからは、手数のかかる柳生和紙もたちうちできなくなりました。そのためしだいに和紙づくりの農家も減り、昭和35年(1960)には10戸だけとなり、おもに障子紙などを作っていました。今では、和紙づくりの農家は柳生の佐藤さんの家1戸だけとなり、菓子の包み紙や松川ダルマの型紙を作り、伝統工芸を守り続けています。
※4 【和紙すき工程】
- コウゾの枝の刈り取り
- 枝を釜に入れて蒸す
- 皮をはぐ
- 表面の皮(黒皮)と緑色のあま皮を削りとる
- コウゾを柔らかくするためにアルカリ性の薬品を入れた釜で煮る
- 水に入れてあく抜きをする
- ビーターという機械で細かく砕いて繊維だけにする
- 紙すき
- すきあげてつみ重なった湿紙を圧搾機で脱水する
- 脱水した紙を1枚1枚はぎとって乾燥機の上にはりつけて乾燥させる
※5 【和紙すき体験方法】
- 新聞紙を広げておく
- 原料の入ったすき舟に枠を持って行く
- すき枠を縦に持ち垂直に降ろし原料をすくう
- 繊維が絡むように枠を縦横にゆする
- 原料の水が切れないうちにもう1回原料をすくい同じようにゆする(はがきの厚みがでない時はもう1回くりかえす)
- 枠下から水がポタポタを落ちる程度になるまで水を切る
- 自分の場所に戻る
- 内枠をそっとはずす
- 下から押すようにしながら金網を枠からはずす
- 一辺を支点に和紙の面が下になるようにそっと金網を新聞紙の上におく
- 持参したタオルを金網の上にのせやさしく押して水をすいとる
力を入れてタオルを転がすようにして十分水をすいとる
- 金網をはずす
※6 【乾燥方法】
- 新聞紙からそっとはがす
- きれいな窓に張る
- セロファンのような表面がつるつるしたものを上からあてる
- その上を定規などで一定方向にやさしくなでで表面を平らにする
- セロファンをはずす
- 自然に乾くまで待つ
- 触って乾いているようなら手前に引っ張るような感じで窓からはがす
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資料
ワークシート「自然から生まれ自然へ帰るものづくり」(PDF 8KB)