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「土壁ワークショップ」

実施団体:土壁塗ろう会

1企画準備

(1) 場所の設定

  • 本プログラムは、堤町の登り窯跡を修復する設定で行いましたが、屋内で土壁を塗る下地があれば、どこでも実施可能です。できれば、完成した土壁をそのまま利用できれば、土壁の使用感を確かめることもできるし、無駄もなく理想的です。
  • 土の準備に1カ月の発酵期間が必要なので、作業場所の近くに土置き場があるといいでしょう。
  • 作業後の道具を洗う場所も、確保します。

(2) 時間などの設定

  • 望ましい作業時間は、午前中の2時間程度です。
  • 天気は晴れが望ましいですが、くもりでも実施可能です。雨が降っている場合は、乾きが悪いので中止にします。

(3) 安全の確保

  • 事前に危険な場所の確認を行います。また、万が一怪我をしたときのために、保険の加入を行います。

(4) 準備物

  1. 指導者/主催者
    • 参加者名簿、名札、ワークシート
    • 作業道具(コテ・コテ板・舟・くわ・スコップ・バケツ・ホースなど)
      ※コテ・コテ板・・・交代して行うので人数分は必要ありません。人数の半分ぐらい準備すればいいでしょう。
    • 筆記用具、アンケート用紙、記録用カメラ
  2. 参加者
    • 汚れてもいい服装、着替え、長靴、タオル、筆記用具
2プログラム実施

(1) 受付

  1. 参加者に名札とワークシートを渡します。
  2. トイレの場所を確認しておき、事前に行ってもらいます。

(2) ガイダンス

  1. アイスブレイク
    • アイスブレイクを兼ねて、全員が自己紹介を行います。主催者は、土壁の材料である「土」や「ワラ」を使って参加者に質問するなどして、打ちとけあいと結束が深まるように働きかけます。
    • 活動に対する期待や希望、疑問を参加者に尋ね、全員で話題を共有します。
  2. 確認・注意事項
    • 危険場所や活動に適した服装であるかを確認します。
    • 活動マナーとして、私有地での活動の注意点を話しておきます。
  3. スケジュール
    • 今日のプログラムの流れ(スケジュール)について説明し、進行上の不安を取り除いてやります。

(3) 進行上の留意点

  1. グループ分け
    • 少人数ならグループ分けの必要はありませんが、2グループにグループ分けし、「土練り」と「土壁塗り」を体験します。
  2. 事前説明
    ○土作り
    • 材料を説明します。
      「土」・・・
      手で握ったとき固まることを確認します。砂分が多いとバラバラになってしまいます。
      「ワラ」・・・
      6cmぐらいに押し切りします。(手を切らないように細心の注意が必要です)
    • 土とワラを混ぜ、発酵させ、土壁の土ができるのに1カ月かかることを説明します。最初の土と発酵後練った壁土の違いを、参加者の五感を使って確認してもらいます。練った土は、発酵して色が変わりにおいがします。
    • 土に水をかけ、柔らかくしてからワラを加え足で踏みます。
  3. ○道具
    • 道具の形・種類・使い方を説明します。
    ○壁
    • 壁の仕組について説明します。
    • 土壁と新建材による壁との違いを説明します。
  4. 「土練り」体験
    • 発酵後の土を舟(箱型の土を入れる入れ物)に入れ、くわでよく練ります。かわるがわる交代して、グループの全員が体験できるようにします。
    • 練った土をバケツに、スコップで小分けします。
  5. 「土壁塗り」体験
    • コテ板に練り土を乗せてもらい、コテで壁塗りをします。どうしてうまく塗れないのか、また、うまく塗るコツを示しながら指導します。
  6. 後片付け
    • 道具を洗い、後片付けします。

(4) 参加者の振り返り・気付きの提供

  1. 活動の振り返り
    • ワークシートに、今日学んだことや感想・意見を記入してもらいます。
    • 土壁塗りの体験を振り返りながら、質疑応答や意見交換を行います。
    • それぞれが記録してきたワークシートを見直し、考えをまとめる時間を与えます。
  2. 気付きの提供
    • 参加者の年齢によって、相応の気付きを提供します。
    • 昔と現代の住居を比較し、人々の生活について考えます。
    • 土壁は役目がすめば土に還ることからごみが出ない特質などを紹介し、リサイクルという視点から循環型社会について興味を深めます。
    • 土のにおいや感触など五感を使って確認し、土の発酵などの自然の仕組を考えてもらいます。
3主催者の振り返り・今後への活かし方
  • 「土作りの仕組」「ごみがでない仕組」を理解させることができたか、確認します。
  • ワークシートの項目は、ねらいに沿ったものとなっていたか、確認します。
  • 参加者が自分の生活を振り返るきっかけとなる「気付きの機会」の提供ができたか、確認します。
  • アンケート結果をもとに評価を行い、改善点を次回の活動へ活かします。


資料

左官を知る基礎講座

○下地

 今回は、登り窯の補修に土壁塗りの技術を使ったワークショップとしましたが、一般的には、細く裂いた竹を組んだ下地に土を塗る工法を体験していただきます。
 この下地(竹小舞下地)は、古くから行われてきました。壁をつける柱や梁、土台に一定間隔に小穴を掘り込んで篠竹などを縦横に差し込み、そこに真竹の割ったものを渡して、ワラ縄などでからげ格子状に組んだものです。ともに身近でとれる素材で、地方によってヨシなどを使うこともありました。
 現在は、住宅の工法・材料も多様になり、「竹小舞下地」の土壁は少なくなったが、植物素材は土となじみがよく、耐久性のある安定した土壁ができます。

○寝かす

  人は何かを寝かすことに、ちょっと期待するところがないだろうか。左官の土も水やワラスサ(※1)と合わせて練って時間をおくと、都合のいいことがあるらしい。
 それは粘りが増すことで、粘りが増すと、土に加える水の量を減らして塗れる状態がつくれるので、乾燥による収縮が小さく、強度の高い壁ができます。
 粘りが増すには二つの作用が働いています。一つは水と粘土が出会うと、粘土粒子からマグネシウムやカルシウムが溶け出して、それが粘りを上げます。これは土と水を数日合わせるだけで効果があります。もう一つはワラスサが腐るまで半月以上、数ヶ月以上も寝かす場合で、腐って溶けたワラ(有機物)が有機酸を出し、これが粘りを上げます。それに有機酸が出てしまうということは、ワラのアクが抜けることで、壁にシミが出にくくなります。アクは土を塗った後にワラが出す有機酸なのだそうです。
 こういうことを左官は、経験的に知っています。古壁を壊したときの土を混ぜるのもいいことです。

○左官の道具

  左官(※2)の道具といえば鏝(こて)です。鏝の種類は材料や形によって1000種類もあるといいます。
 材質は鉄製が主流で、地金、半焼き(油焼き)、本焼きとあって、地金は叩いて仕上げ焼入れしていないもの。半焼きは焼入れが弱いもの、本焼きは鍛造品を焼入れした鋼の鏝です。地金や半焼きは厚みがあってやわらかく、中塗りなど下塗り(地塗り)の土を塗りつけるのに使います。本焼きは硬いのが特徴。
薄く、弾力性があるものは上塗り仕上げに、厚いものは漆喰仕上げや大津磨きなどに使います。また、ステンレスやアルミの鏝、プラスチック鏝、木鏝も使われています。
 形となると一番ポピュラーなのは、痩せたアイロンのような形状ですが、狭い部分や隅などを塗るのに丸形、ナイフ状など多種多様で目が回るほどです。

参考文献 : 「CONFORT 土と左官の本」(発行)建築資料研究社


※1 ワラスサ(藁すさ)
荒縄、米俵等によって製造されます。ワラのアクが発生することから主に土壁として使用されます。
現在、ワラをさらしたものが製造されており、漆喰などに入れワラのテクスチュアーを出せるようにしたものもあります。

※2 左官
土壁、漆喰を塗る職人。壁を塗る職人。
工業的に見れば壁を塗ることを目的とした職業であり、技術的には可塑性のコロイド物質である漆喰・セメントモルタル・プラスターなどを使用し、壁・天井・床などを鏝をもって塗り上げるものです。工具は鏝を主体とし操作され、刷毛を用いる塗装工と区別されます。

参考文献 : 「左官事典」(発行)社団法人 日本左官業組合連合会



資料

いろいろ聞きたい、土と左官のこと
土壁Q&A

 土壁に使える土とは? 庭の土も塗れるの?
 粘土を含んだ土が必要です。
  土なら何でも塗れるというわけではありません。たとえ庭土に水を加えて塗りつけても、乾けばバラバラになって落ちてしまうでしょう。土壁を塗る材料としての「土」は、粘土に砂やスサ(壁土に混ぜてつなぎとするワラ・麻など)、糊、水を入れて、泥状に練ってつくったものです。土壁がうまく固まるのは、材料に適量の粘土が含まれているからです。
 粘土は水を含むと粘りが出て練ることができ、つくった形を保つことができるという特殊な性質を持っており、乾燥するとカチカチに固まり、収縮してひび割れができます。土壁の材料はそういう性質を上手に利用して、適当な強度が出て、ひび割れないように砂などを混ぜ、荒壁や中塗り、上塗りなどの用途に適した粘り気をもつように調合したものです。また、糊を混ぜるのは壁を固めるためではなく、コテで
 塗りやすくするためです。ワラスサは上塗りではほとんど意匠のためですが、荒壁や中塗りではひび割れを抑える働きがあります。


 粘土はなぜ固まるのですか?
 粒子が電気的に引き付け合って固まります。
 ごく簡単に言うと、粘土の粒子(結晶)は表面にマイナスあるいはプラスの電気(電荷)を帯びており、エッジにはその反対の電気を持っています。そこで粒子同士が近づくと引き付け合い、電気的な橋渡しの作用が起きて結合します。他にも、層の中に含まれるマグネシウムやアルミニウムなどの成分が結合を促すなど、いくつかの作用が働いています。
 粘土が固まるのはこの粒子が結合することで、土壁の土をこねたり練ったりする作業は、空気を抜き、土に含まれる粘土の粒子同士が近づいて、結合しやすくなることを意味しています。


 土壁の家は冬暖かく、夏は涼しいといいますが本当ですか?
 外気の影響を受けにくく、温度や湿度の変化がおだやかです。
 土壁は調湿性能が高く、断熱性、蓄熱性にすぐれています。温度が下がると湿度は相対的に上がりますが、外気温が変化しても湿度がほぼ一定していることから、土壁そのものが自己調湿機能を持っているといえるのです。
 土壁仕上げにリフォームしたあるマンションに生活してみたところ、快適な住み心地で、温度と湿度の比較結果は、ともに安定していることがわかりました。ある日の最低温度は、屋外が約2℃のとき、比較部屋は約10℃、土壁の部屋は約15℃。一日のうち比較部屋は10℃から25℃の間を変動しています
が、土壁の部屋は15℃から18℃くらいの間の変動にとどまっています。夜間の温度低下速度も比較部屋の方が速く、土壁の断熱性と蓄熱性がすぐれていることがわかりました。


 使っているうちに土壁の表面がぽろぽろ落ちるのでは?
 こすったりすれば、土の粒が落ちるのは自然のことです。
 土壁仕上げでは、表面は乾燥した土の肌が表われているので、衣服や物で擦ったりすると、土の粉や砂粒が落ちて、擦り傷もできます。
 土壁は、自然の素材を活かしたもので、ビニルクロスのように、表面が傷になりにくい、ふけば汚れがすぐ落ちるといった現代生活に便利な機能を付加して生産されているものと同じではありません。その点は、頭を切り替える必要があるでしょう。

参考文献 : 「CONFORT 土と左官の本」(発行)建築資料研究社


資料
ワークシート「土壁ワークショップ」(PDF 8KB)

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