| 資料
いろいろ聞きたい、土と左官のこと
土壁Q&A
Q 土壁に使える土とは? 庭の土も塗れるの?
A 粘土を含んだ土が必要です。
土なら何でも塗れるというわけではありません。たとえ庭土に水を加えて塗りつけても、乾けばバラバラになって落ちてしまうでしょう。土壁を塗る材料としての「土」は、粘土に砂やスサ(壁土に混ぜてつなぎとするワラ・麻など)、糊、水を入れて、泥状に練ってつくったものです。土壁がうまく固まるのは、材料に適量の粘土が含まれているからです。
粘土は水を含むと粘りが出て練ることができ、つくった形を保つことができるという特殊な性質を持っており、乾燥するとカチカチに固まり、収縮してひび割れができます。土壁の材料はそういう性質を上手に利用して、適当な強度が出て、ひび割れないように砂などを混ぜ、荒壁や中塗り、上塗りなどの用途に適した粘り気をもつように調合したものです。また、糊を混ぜるのは壁を固めるためではなく、コテで
塗りやすくするためです。ワラスサは上塗りではほとんど意匠のためですが、荒壁や中塗りではひび割れを抑える働きがあります。
Q 粘土はなぜ固まるのですか?
A 粒子が電気的に引き付け合って固まります。
ごく簡単に言うと、粘土の粒子(結晶)は表面にマイナスあるいはプラスの電気(電荷)を帯びており、エッジにはその反対の電気を持っています。そこで粒子同士が近づくと引き付け合い、電気的な橋渡しの作用が起きて結合します。他にも、層の中に含まれるマグネシウムやアルミニウムなどの成分が結合を促すなど、いくつかの作用が働いています。
粘土が固まるのはこの粒子が結合することで、土壁の土をこねたり練ったりする作業は、空気を抜き、土に含まれる粘土の粒子同士が近づいて、結合しやすくなることを意味しています。
Q 土壁の家は冬暖かく、夏は涼しいといいますが本当ですか?
A 外気の影響を受けにくく、温度や湿度の変化がおだやかです。
土壁は調湿性能が高く、断熱性、蓄熱性にすぐれています。温度が下がると湿度は相対的に上がりますが、外気温が変化しても湿度がほぼ一定していることから、土壁そのものが自己調湿機能を持っているといえるのです。
土壁仕上げにリフォームしたあるマンションに生活してみたところ、快適な住み心地で、温度と湿度の比較結果は、ともに安定していることがわかりました。ある日の最低温度は、屋外が約2℃のとき、比較部屋は約10℃、土壁の部屋は約15℃。一日のうち比較部屋は10℃から25℃の間を変動しています
が、土壁の部屋は15℃から18℃くらいの間の変動にとどまっています。夜間の温度低下速度も比較部屋の方が速く、土壁の断熱性と蓄熱性がすぐれていることがわかりました。
Q 使っているうちに土壁の表面がぽろぽろ落ちるのでは?
A こすったりすれば、土の粒が落ちるのは自然のことです。
土壁仕上げでは、表面は乾燥した土の肌が表われているので、衣服や物で擦ったりすると、土の粉や砂粒が落ちて、擦り傷もできます。
土壁は、自然の素材を活かしたもので、ビニルクロスのように、表面が傷になりにくい、ふけば汚れがすぐ落ちるといった現代生活に便利な機能を付加して生産されているものと同じではありません。その点は、頭を切り替える必要があるでしょう。
参考文献 : 「CONFORT 土と左官の本」(発行)建築資料研究社 |